8月号(※)のテキストは【アナログの世界で印象を残す】がテーマ。
初対面であなたの印象に残るのは、いったいどのような人でしょう?
名前が珍しい人、きれいな人、ユーモアがある人。素敵なファッションセンスの人。
人は24時間以内に、得た情報の8割は忘れてしまうと言われています。それは人間の性としてとてもナチュラルなことだそうです。ですから、なにか特別な感動や印象でも残さない限り、自分の存在を相手の記憶に留めることはとても難しいです。ましてたった1度会ったくらいではなおさらのこと。しかしそれは、短期的な記憶装置であるショートターム・メモリーに情報が保存された場合です。もうひとつ、脳には長期的に記憶を保存する場所、ロングターム・メモリーがあります。ショートターム・メモリーに保存された情報を、さらにロングターム・メモリーに移すことで、記憶した情報が永久に保存されるということが研究で分かっています。ロングターム・メモリーに入れば、人は忘れない。たとえすぐには思い出せないことがあっても、忘れることはないのです。
映画<レインマン>に登場する、自閉症の兄レイモンドは驚異的な記憶力の持ち主です。ラスベガスのカジノでその優れた才能を発揮し、大儲けするシーンはとても印象的です。レイモンドのように、重度の自閉症患者でありながらも、特定分野において優れた才能と記憶力を発揮する人は、世界に100人ほど存在すると言われています。ダスティン・ホフマン演じるレイモンドにも、キム・ピークという実在するモデルがいます。彼がどうして記憶がいいかというと、右脳と左脳を分ける脳梁がない、ユニークな脳の持ち主だからです。そのためロングターム・メモリーとショートターム・メモリーの概念がそもそもありません。不必要な情報をふるい落とすフィルターがないため、その脳はロングタームに入ったものをそのまま引き出すことができるのです。
もちろん、私たちの脳は特別優れた記憶力を持ってはいませんから、記憶に残るためには、相手のショートターム・メモリーに入っている自分の名前や社名を、ロングターム・メモリーに入れてもらう作業が必要となってきます。ポイントは脱・ショートターム・メモリー。そのためにできることは、やはり相手に印象を残すこと。スターブランド社では、「出会ってから1週間のうちに、3回相手の頭の中に顔を出すこと」を徹底しています。リアルに会う必要はありません。「思い出してもらう」だけで十分です。しかし、必ず3回はその人に自分を思い出してもらうようにしています。そうすればかなりの確率で自分にまつわる情報がショートターム・メモリーからロングターム・メモリーに移って、忘れられない人になれるはずです。