スターブランドCLUBについて

スターブランドTIMES

ダンボールで何でもつくります! なにわのサイン広告プロフェッサー

2012年01月01日
まずは自分たちが楽しむこと そのエネルギーがまわりを巻き込んでいく

まずは自分たちが楽しむこと そのエネルギーがまわりを巻き込んでいく

今を去ること1年前、司会村尾隆介、パフォーマンス 武田双雲氏という粋なキャスティングで、 ある会社の設立記念パーティが行われた際、テンガロンハットにホルスター、ウエスタンブーツといういでたちで現れたのが、なにわのピン芸人、ならぬサイン広告・インクジェット出力のプロ、 有限会社サインサービス 宮地義貞さんとその弟子たち(スタッフの皆さん)である。

当日、 展示会で接客していた格好そのままでの登場だ。「会期中、スーツを着続けるのは非常に苦痛。お金払ってブース借りて るんだから、 会場って僕らのステージだよな。 それだったら好きな格好したらいいやん。で、パーティもこのまま行くか、って」と宮地さん。

「ただ、 こんな格好で歩いてると、 関西人はイジリにくるけど、関東の人はサーッと引いていくね(笑)」。 アメリカの展示会では必ずバーがしつらえてあり、 その場では軽く飲み、 夜のパーティに出直して人や商品を紹介しあうのだという。

しかも日本と違って堅苦しい決まりがなく、 テキトーに楽しんで帰れる。
そのカッコよさに憧れ、2005年の社屋移転時には、一流ホテルでパーティを開催。
同業他社も招待した。 「普段は地味に作業服でバンを乗り回す、 それは仕事だから当然。

でも、 時にはオシャレしてパーティにでかける、 そんな余裕のある業界になればいいなと。
でなければ遊び心のあるサインなんてできない。 他社が後に続いてくれたらうれしいね」同業他社から「展示会どうしよ」と相談されると、 「どんな格好したい? 着物? だったら屋台風のたてこみで、 ゆかた着て、 来場者にたこやき配ったらええねん。そしたら『たこやき屋さん出してたプリンター出力屋さん』て覚えてもらえるやろ」と、あくまでも自分たちがやりたいこと重視、目立ってナンボの関西ノリである。

「らしさ」の表現はとことんやろう 怒られたらやめればいい
戦っているところから、いち抜けた! 新しいポジションにシフトする

戦っているところから、いち抜けた! 新しいポジションにシフトする

大学卒業後、 家業の旗屋に入社した宮地さんは、旗、 のぼり、 ハッピなど、 伝統工芸と販促の要素が加わった奥の深い職人芸を、 5年程経験。 外の世界に目を向けた。

「旗屋に走って入ってくるような忙しい人たちがいて、 それが宅配業者さんと印刷会社さんだった。 印刷会社の仕事っておもしろそうだなあと思って、 ハローワークで求人を探して就職した」。 旗や幕づくりの経験を生かし、 営業スタッフとして精力的に新規開拓を行った。 当時の顧客にはサイン屋さんが多かったという。

業務をひと通り経験して3年で退社、 ぷらぷらしていると「出力やってないの?」としょっちゅう問い合わせがある。 「じゃあやりますわ」と起業。商売道具であるインクジェットプリンター2台とラミネーター1台が納品されるまでの1カ月、 サイン屋さんに修業にも行った。

「前の会社でできたことはすべてできる体制。 ところが、 サインについての情報がない。 当時黎明期だった『看板ナビ』という業界の情報サイトを見つけて、 夢中で書き込みや情報交換をした。 その縁で、 上海視察ツアーにいく機会ができた」。 インクジェットプリンターはどこの印刷会社でも持っている。 今は良い時だが、 このままいくと価格競争に陥る。 新しい活路を求めていた宮地さんは、 上海の展示会で、 ダンボールに印刷できるプリンターに目をつけた。 当時世界に30台ほどしか存在しなかった高価でハイクオリティな機械だ。 担当者に「日本で50個ぐらいのダンボール印刷の注文はどうしてんの?」と聞くと、 「小ロットなんて、 商売にならないから絶対受けない。受けられないですしね」。 ダンボールはエコの観点から注目の素材。 小ロット対応で安く提供できるなら充分市場性があると直感。 アメリカで運用状況を視察後、 資金を調達し、 1年がかりで導入。 従来のパッケージ屋さんにない楽しいものを作ろうと、 ダンボールに見えないダンボールを目指して試行錯誤の末、 どんなオーダーにも対応できる技術力とデザイン力をものにした。展示会でのウエス タンやオールディーズの世界はその集大成である。 他に、 商品モックなどのビッグ版、 ミニチュア版など、どんな形状も自由自在。 展示会、 イベント、 店頭陳列などニーズは幅広い。 エコにうるさい大手企業の指名も多い。 今考えているのは、 飛び出す絵本のビッグ版。催しがおわったらパタンとたたんで電車で持って帰れるもの。 飛び出す絵本を買ってしくみの研究に余念がない。

現状を冷静に見極め リポジショニングの勇気を持とう
当たり前のことを当たり前にやる その姿勢が伝説になった

当たり前のことを当たり前にやる その姿勢が伝説になった

インタビューに同席いただいた宮地さんの親友でスタッフの垣内さんによると、 宮地さんは「インクジェット出力のプロフェッサー(教授)」と呼ばれているという。

「困ったら彼に聞け」が常識だそうだ。 コストダウンのため海外からの資材調達をやってのけた上、 自ら工業試験場に試験を依頼し、耐久性を検証したのは業界初。 「資材メーカー、 ラミネートメーカー、 インクメーカーが3年持つと言っても、 それをミックスするのは自社。 商品が3年で色落ちしたら全部やり直し。 リスク回避のためにお金と手間をかけて品質を検証するのは、 当たり前のことです」。さらに、 使用頻度の高いプリンターは同じものを2台用意。 万一、 1台が故障してもあとの1台で対応できる。 2台とも故障したら、 同業他社に「助けて」と言える関係を日頃からつくっている。

また、 オフィスにいち早くITを導入。 ルーティン業務を徹底的にシステム化した。 スタッフ全員が情報共有して業務の進捗状況を把握、 価格や納期の算出を一元化、 プレゼンですら、 何をどういえばどんな反応が返ってくるかを分析、ケーススタディにしてスタッフに学ばせる。 何を何秒で出力できるかまで全部データ化しているという。 そうやって確保した時間に世界中の人と会い、 情報収集する。 「とことん勉強した上で、 わからないことを専門家に聞く。 聞くレベルが低いと得られる情報も少ないですからね」。

ブランドと呼ばれる会社はお客さまのためにも確実なリスク対策をする
どんなことにもギモンをもって 自分なりの仮説を立てる

どんなことにもギモンをもって 自分なりの仮説を立てる

昨年、 大手プリンターメーカーから世界のユーザー企業1,000社を集めたパーティに招待された。 大変な栄誉であるし、 新しい世界への扉でもある。 すべては投資における先見と決断の賜物だ。 会場のバルセロナでも宮地さんは、 家の煙突の先がバイクのマフラーみたいに曲がっているのはなぜか、 と考える。 「ムダにカッコいいわけ。

で、 観察してると、 スペイン人は朝8時から働いて、 午後2時ぐらいに帰宅する。 長い昼休みを取って、 夕方5時から夜9時まで働き、 その後、 遊びにいって、 深夜12時に帰宅就寝。 昼の間に夜遊びの準備をする時間がある。 カッコよさを追求する余裕がある。 だから曲がった煙突が売れるのかもしれない」と仮説を立てる。 最近のヒット作は、 一般ユーザー向けのダンボール商品。エコにおしゃれにデスク回りの小物を収納できるミニ棚は、 クリエイター向け。 自分でデザイン画を作れるドキュメントケースは、 デザイナー志望の学生向け。自分のデザインを持ち歩いてアピールして、 就職面接でも差をつけてもらおうというのがコンセプト。 「短納期での納品こそ、 オンデマンドビジネスの存在価値。今日注文で明日納品、 今はそれが課題」。 研究熱は尽きる事を知らない。

取材協力&写真提供:有限会社サインサービス
          代表取締役 宮地 義貞さん
          スタッフ 垣内 秀正さん

インタビュアー/ライター  永本 益代 (ながもと ますよ)

〜 2007年1月号より 〜

  • Home >
  • スターブランドCLUBについて >
  • スターブランドTIMES >
  • スターブランドTIMES >
  • ダンボールで何でもつくります! なにわのサイン広告プロフェッサー