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「美しい経営」をキーワードにブランドづくり オトコ業界に突如咲いた一輪の花

2012年04月01日
「100%男性」の業界に咲いた花

「100%男性」の業界に咲いた花

くびに上品な巻物をまき、背筋をピンと伸ばし、航空会社のカウンターに立ってバリバリ仕事をしていた女性が、25歳のある日突然起業をする。しかも、選んだ場所は「男性100%」の業界。“サッシガラスの会社”を興し、文字通り工務店などへ「ガラスサッシを販売する」というビジネスである。

もちろん脈略ゼロなわけではなく、ご主人がそれまで「建材の商社に勤めていた」という経緯があってのこと。そのとき感じた「サッシ屋は羽振りがいい。きっと儲かるに違いない・・・」という希望に満ち溢れるスタートだった。

が、丸和商事(現・マルコーポレーション)の奥寺優子さんは、直後に「コネなし」「金なし」「経験なし」で、大変な苦労を強いられることになる。「誰も何も教えてくれない」「付き合う業者は基本的に変えない」「男性中心」という世界に飛び込むというのは、どんなにパワーのある女性にとってもかなりの試練だ。

「正直、イヤになったときはたくさんありました・・・」

雨の日も、風の日も営業にまわる。運転免許すら持っていなかったので、ひたすら自転車で現場をまわった。「顧客ゼロ」「売上ゼロ」が続く。焦る。『オンナ』であることに驚かれる。それどころか、“パパママストア”が比較的多い工務店という世界。訪問すれば、そこの“奥さま”が、ものすごく警戒をする。『ウチの主人に何の用があるの!?』と、ドアをピシャリとやられたこともある。

100%男性の世界に咲いた花・・・、一体どうなることやら。

「違い」は「強み」、「強み」は「違い」

素人であること、新参者であることに辛さと不安を感じていた奥寺優子さん。でも、営業の最中、工務店の社長と名刺交換をしているときに、ふとあることに気がつく。

頂いた名刺に書かれた名前を復唱しようと、その社長さんの名前を・・・『N様ですね!』と読み上げ、顔をあげると、なんとその社長、嬉しそうな顔をして照れているではないか(笑)。

『そうか、人の名前に「様」すら付けないこの業界で、わたしの言葉遣いはバツグンに良いんだ!』

同時に、それは「個人としての強み」を発見した瞬間でもあった。

業界の色に染まる選択肢もあった。昔からの“業界の習慣”を受け入れることもできた。女性らしさを捨てるというチョイスもできたかも知れない。でも、それでは何も変わらない。自分の存在も、今までやってきたことも意味がなくなる。逆に、「自分にしかできないこと。自分にしかできないスタイル」が認められれば、それは他社にはそう簡単にマネできない強みになる。何か大きく熱いものが、ゆっくり動きはじめた。

「小さな会社の「らしさ」は、経営者の「良いところ」をベースにしよう」

キーワード経営

「今では、現場でも大工さんに『女性がいることが嬉しい』と言っていただけるようになりました(笑)」と、奥寺さん。今では娘さんも同じ業界(会社)で働くが、実際に現場に出向いて採寸などをする。その姿は、もはや地域の風物詩。「現場が明るく、楽しくなる」と、男性陣から大変好評だ。

マルコーポレーションには、「美しい経営」というキーワードがある。事実、奥寺さんと話していると、人の数十倍「美しい」というコトバを使うことに誰もが気がつく。「現場の床にゴミひとつ落とさない工務店には、すぐれた工務店が多い」というくらい、特にこの業界において「美しさ」は、優秀さと密接な関係があるらしい。

でも、これこそ「マルコーポレーション」が、地域の小さなブランドと呼べる存在になった源。「美しい経営」には、以下のようなことが含まれるのだ。

1. 電話の言葉遣いが美しいこと
2. 約束を守ること
3. 商品が乱雑に置かれていないこと
4. 段取りが良いこと
5. 支払いがシッカリしていること
6. スタッフの身だしなみが良いこと
7. 変更が少ないこと

・・・等々、その他挙げればキリがないのだが、これら、実はこの業界では、ほぼすべてが正反対なのが普通だったりする。

「あまりにも理不尽なことが多くて、最初この業界に入ったときにはビックリしました」

奥寺優子さんは、「美しい経営」というキーワードを基に、この業界の常識(他から見た場合の非常識)を、自分の感性でひとつづつ変えていったに過ぎないのだ。

「職人気質な業界ほど、ブランドをつくる余地がある」
社長がブランドであること

社長がブランドであること

もうひとつ「マルコーポレーションの成功のワケ」を挙げるとするなら、それは奥寺優子さん自身が「ブランドである」ということ。

経営者としてのキラキラ度はピカイチ。部屋に入れば、その空気を変えられるチカラの持ち主だ。

聞けば、「何も特別なことはしていません」という。

「でも・・・」、・・・でも?

「食事には気を配ります。日本食が中心で三食決まった時間に、そして60%くらいの満腹度でおさえます。また、ちょっと良い服をわざと買って、『いつまでもそれらにフィットできますように』と頑張ります(笑)」

その徹底した自己管理で、なんと服は30年前と同じものを今でも着ている。ゴミ捨て時の格好まで怠らないというストイックさから生まれるルックスは、間違いなく自社の営業力に反映している。同じ価格、実力、信用度の「小さなA社」と、「小さなB社」があれば、おそらく“より選ばれる”のは、よりキラキラしたスタッフや経営者がいる方だ。

もちろん「中身の美しさ」も際立っている。ビジネスエティックスのレベルが高く、業界の不正やだらしなさを心底嫌う、まさに社会派でもある。

5年後は・・・、「『美』を軸に、“暮らし”の提案をもっとしていきたいですね。機能的な住まいを提案をすることで、日本の女性はもっと輝けると思います。それを総合的にサポートするチームをつくりたいと思います」

起業時に戻ったとしたら?・・・の問いに、「本当は旅行代理店をやりたかったんです(笑)」と笑う。でも、そのキラキライズムと、パワーと、魅力なら、きっとどの業界でも通用する起業家になれるはず。「社長がブランドであることは大きな武器」を証明している小さな会社である。

取材協力:株式会社マル・コーポレーション 奥寺優子さん

〜 2007年4月号より 〜

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