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世界を渡り歩く一級建築士 「好き」と「得意」のマッシュアップ仕事術

2012年07月01日

「トウキョウ ジャケット」、「シエナ スタイル」、「サンタフェ クラシック」、「トスカーナ ウェイ」・・・。これらは新発売のアイスクリームの名前ではなく、なんとビックリ、『床』や、『手すり』といった、いわゆる『建築資材』の商品名。

マルコポーロの時代を髣髴とさせる古典的な世界地図をモチーフに、"世界中から楽しい資材集めました"というスローガンで展開する、一級建築士・堀部朝広の建築資材輸出入ブランド<マテリアル・ワールド>は、既存の資材サプライヤーとは一味違う、業界でキラリと光る"小さなブランド"を目指し、毎日進化中だ。

『小さなブランドづくり』は、自己表現そのもの

『小さなブランドづくり』は、自己表現そのもの

「一級建築士という資格は、足の裏についた米粒のようなもの。取らなきゃ気持ち悪い。でも、取っても喰えないんです」と笑う堀部朝広だが、日本においては印籠的アッパーな資格であることは間違いなし。三井建設(当時)で5年勤めた後、ログハウスのリーディングブランド<ビッグフット>の海外駐在員として2年間カナダで過ごし、帰国。06年、自ら起業し、現在に至る。英語も堪能。世界中をフットワーク軽く歩きまわり、交渉力もある。モノを選ぶセンス、つくるセンスも抜群だ。

「そんな堀部さんの“良いところ”を全部マッシュアップしたブランドをつくりませんか?」

その一言から生まれたのが、この<マテリアル・ワールド>という建築資材の輸出入業を行う事業だ。

「マテリアル(資材)」を、行動派の一級建築士が、「ワールド(世界)」からセレクトしてくる。リフォーム時などでお馴染みの、あんなブ厚い建築資材のカタログの用意はないけれど、厳選されたバリュー・フォー・マネーが高い商品が目白押し。前出のように、それらには、その土地土地のイメージにあった地名がネーミングとして使われている。カタログは、あたかも旅行会社のパンフを見ているような楽しさがある。

取り扱う商品のうちの幾つかは、<マテリアル・ワールド>自身が日本の総代理店であるため、中抜き業者が存在せず、良い品なのに、極めて安価な価格での提供が可能だ。

今日も世界から楽しい資材を探し出し、日本の市場へ提案を続ける堀部朝広。そのバイヤー日記とも言えるブログも人気(HPからアクセス可)。

自分の「好き」と「得意」を、全面に散りばめたブランド。<マテリアル・ワールド>は、堀部朝広という人間そのもの。極めて“自己表現的”なブランドと言っても過言ではない。

ブランドづくりを自己表現と考えれば、それは“真似できないブランド”につながる

「ブランド力」は、「フォーカス力」

・・・と、ここまで話しておきながら、実は、<マテリアル・ワールド>というのは、あくまで堀部朝広率いるブランドの一つであって、他にもブランドは構築中のものも含め、幾つか同じ会社の傘下に存在する。

堀部朝広が代表を務める会社の名前は<TIME&GARDEN>といい、他にも「設計」、「建築コンサルティング」などを行っている。<マテリアル・ワールド>というのは、あくまで、その会社の中の建築資材輸出入部門のブランド名だ。

地方の国道沿いによくある“お食事処”。掲げられた、「カレー」「トンカツ」「そば」「すし」「コーヒー」といった看板からは、その店の専門性や、得意技が感じられない。はじめてのお客さまの立場にたてば、『何をその店に期待して良いのか?』は極めて不明確であり、また当然のことながら『おもしろさ』や『ワクワク感』もない。

その点、<TIME&GARDEN>は小さい会社ながらも、各部門をあたかもブランドのように位置付け、そのエリアでの専門性と楽しさを際立たせた演出を実践している、いわばブランドホールディングカンパニーである。

「<マテリアルワールド>といえば、『魅力的な資材を探してきたり、オリジナルでつくっちゃう、面白くて、楽しいチームだよね』って認知されるようになりたいです。その名にふさわしいように、取引先も最低15ヵ国以上に増やし、日本からの建築資材の輸出も手掛けていきたいですね。5年後も、会社の規模は、それなりに(意図的に)小さいままだと思いますが、提供する商品やサービスの質の高さが全国区で評判になり、業界のブランドと呼ばれる存在になっていると嬉しいです」

「何でも屋」になるよりも、会社の中に“ブランドポートフォリオ”を設けよう

CLOSE UP!
<マテリアルワールド>の商品が、グッドデザイン賞へ

<マテリアルワールド>の代表作で、完全オリジナルの商品。堀部朝広がゼロからデザインした、コンセントなどを差し込むプレート(スウィッチプレート)のセレブ版、“トウキョウ・ジャケット”が、現在グッドデザイン賞の最終選考に残っています。(この記事は2007年8月25日の時点のものです)

オトコの世界で、あえてフェミニン

堀部朝広の事業で特筆すべき点は、まだある。それは、<TIME&GARDEN>および<マテリアルワールド>は、建築業界という比較的荒々しいオトコの世界において、極めてフェミニンな香りを放つチームであるということ。各種印刷物やツール、ロゴはもちろんのこと、企業活動としての決まり事、経営者のファッションに至るまで、すべてが“女性ウケ”するように設計されている。

そのプロセスは徹底している。

「ウチでは、『こういう女性に使ってもらいたい』『こういう女性の資材バイヤーに響くようなものを輸入したい』と思う、その“こういう女性像”を事細かにプロファイリングした顧客ノートをつくっています。すべての企業活動は、そこに記された顧客像と『模擬対話をしながら』となっています」

そう。たとえば、キャッチコピーひとつ、文章の表現方法ひとつ、<マテリアルワールド>では、ただ単純に『30代の女性向け』としているのではなく、そのターゲットである一人の女性に語りかけるようにつくられているのだ。

ターゲット層を「面」で考えるのではなく、「点」で考える。そうすることで、結果、「面全体」に対して、より強いメッセージを発することができるという発想だ。

一級建築士ならではの細かな顧客へのコダワリ。ブレないブランド、<マテリアル・ワールド>の源は、そんなところにあるのかも知れない。

取材協力: 株式会社TIME&GARDEN 堀部朝広さん
     マテリアルワールドはこちら

〜 2007年8月号より 〜

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