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THE ROAD TO THE WORLD. 小さなストリート系ブランドの「世界を目指す!」

2012年11月01日

「ストリート系のブランドなら、今、間違いなく日本が世界の最先端」 ギタリストのエリック・クラプトンまで、こんな発言を公で頻繁にするほど、10年くらいから、アパレルやフィギュアを中心に、日本のストリートカルチャーへの注目が、世界から集まっています。そんなムーブメントに乗って、日本の小さなストリート系ブランドが、海を越える挑戦を続けています。<ダムトラックス>は、14年前に日本で誕生したヘルメットブランド。バイクに乗る人なら、知らない人はいないほどのカリスマ的なブランドです。

ポリシーは、「『笑わせる商品』しかつくらない」

ポリシーは、「『笑わせる商品』しかつくらない」

日本のバイク乗り、特にトラッカー系と呼ばれるタイプのバイク、また東京でよく見かけるビッグスクーターを持つ若い世代の間で人気のヘルメットブランド<ダムトラックス>には、たったひとつのシンプルなポリシーがあります。それは、「人を笑わせることができるような商品しか売らない。つくらない」というものです。

もちろん、棚の商品を見て爆笑するという光景を思い描いているのではありません(笑)。「ニヤッ」と微笑み、「やるな、ダムトラックス・・・」というような笑いだったり、「スゲぇな・・・」と思わず言ってしまうような感嘆の表情のことを指しています。

たとえば、<ダムトラックス>は、その実用性はさておき、犬用や猫用のヘルメットの販売も行っています。これにはヨーロッパの人たちも、いつも大ウケ。特にイタリア人は、必要以上に大きなアクションで喜んでくれます(笑)。他にも、宇宙服のようなミラー系のバブルシールドをあしらったヘルメット(人間用)や、女性がポニーテールを簡単に出すことができるように後頭部がカットされたレディース用商品など、そのポリシーに偽りないアイテムが、星の数ほどラインナップされています。

そのカラーバリエーションと、セミカスタムの可能性(ダム社のへルメットは、シールドやバイザー、その他グッズを独自に組み合わすことが可能です)は、無限大。それも「人と全く同じモノを持つのはイヤ」と、個性を重視する若い世代の間で評価されているポイントです。

<ダムトラックス>は、TVドラマ・「ビューティフルライフ」、映画・「チェケラッチョ」をはじめ、数々の作品や広告、女性芸人の定番衣装などにも使用され、その都度、国内での市場シェアを高めていきました。そして、そのオファーは、すべて<ダムトラックス>から仕掛けたものではなく、『向こうからやってきた』ものでした。そのくらい「笑わせる商品しか扱わない」というポリシーは、強烈に、その個性を、ひとつのメッセージとして、対外的に放っていたということになります。

常に自社のポリシーを枕詞に、すべての企業活動を決定しよう!それが「会社の個性」につながります。

海外からバイヤーたちがやってきた

気がつけば<ダムトラックス>は、国内で千を越える販売拠点を持つメーカーになっていました。それどころか、その勢いとスタイルは、どういう経緯か海外にも伝わり、ポツリポツリと、わざわざ海を越えて、東京の小さなオフィスにバイヤーがやってくるようになりました。

「ロンドンでは、結構みんな知っていますよ」と、バイヤー。「エッ、そうなの!?」と、ダムトラックス社の社長、鈴木伸夫氏。これが、半分成り行きのような、海外進出のキッカケです。

ヘルメットは、各国で安全基準が異なるため、そう簡単に輸出入ができるわけではありません。それらのバイヤーは、あくまでファッションアイテムという形で買いつけ、ファッションアイテムとして、ロンドンの有名デパートなどのアパレル売り場で販売をしていました。

「でも、ついでだから、『売る』というよりも、『お披露目にいく』という感じで、ヨーロッパの見本市にでも出してみますか?」

やるからには、ただ出展するのではなく、とことん「ダムトラックス流」ということで、寿司屋を髣髴とさせる純和風なブースを、ミラノのモーターサイクル見本市で設置。しかも、ヘルメットがお決まりの“回転”をするというコダワリよう。「とにかくヨーロッパ人を笑わせたい」と、玉石まで日本から持ち込み、あたり一面に引き詰めました。

極めつけは、日本の観光地でよく見かける、写真撮影用の「顔出し看板」。富士山や芸者、もちろんバイクとヘルメットも一緒に描いた看板を日本で作成。ミラノに持ち込み、ブースにセット。お客さまに「顔」を出してもらい、記念撮影。それをやってくれたら、オリジナルの記念品を差し上げるというシステムを開催期間中、ブランド名認知のために、ずっと続けました。イチかバチかのカケでしたが、これにはイタリア人も大興奮。連日お客さまの列ができ、現地メディアにも多数登場しました。

これもまた「ハード面」だけではなく、「ソフト面」でも、自社のポリシーをしっかりと貫いた、<ダムトラックス>のブランド武勇伝です。

会社のポリシーは、商品だけではなく、イベントやオフィス環境の細部まで行き渡らせてこそ。

小さなブランドは海外進出するべきか?

<ダムトラックス>は、現在、本格的な海外進出のために、スタッフィング含めて「準備中」。すでに、たくさんのオファーもあり、本格参入後の見通しは明るいものと思われます。

「バイク自体の販売が日本市場で伸び悩む今後、ヘルメット会社の残された道は、高付加価値商品としてのポジショニングを、海外市場で確立すること」

バイクが売れなくては、ヘルメットも売れない。すでに<SHOEI>や<ARAI>などは、そのビジネスのほとんどを海外で行っているのが現状です。

日本には、たくさんの優れた小さなブランドがあります。言語の問題や、レギュレーション、物流や関税、PLなど、もちろん(特に小さな)会社の海外進出には、たくさんの壁が立ちはだかることは確かです。

でも、多くの小さなブランドが今、海外市場にチャレンジすることは、大きな意味があります。それは、メディアが日本人アスリートの活躍や現地での人気を伝えることにより、日本全体が、ある種の勇気をもらえることに似ています。小さな会社の海外での活躍は、きっと日本の経営者や起業家志望者に、強い勇気を与えることでしょう。そう、<ダムトラックス>が、小さなブランドとして、日本のオートバイ業界に、大きな勇気を与えたように。

取材協力: >株式会社ダムトラックス 鈴木伸夫さん

〜 2007年12月号より 〜

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